今回は『着付け教室のなぞ』として
① 着付け教室はなぜ無料 or 格安でできる?(からくり)
② 着付け教室を利用するなら…どこがおススメ?(チェックポイント)
③ 安全&安心して着付けを覚えるにはどうしたらいい?
の3つについて、”簡単に・わかりやすく” まとめていきます。
着物の着付け教室はなぜ無料?/からくりと危険性まとめ
着付け教室はなぜ無料 or 格安でできる?(からくり)
まずは『着付け教室はなぜ無料 or 格安でできる?(からくり)』から。
結論からいうと
【着物の販売】によって利益を出しているから
で、”着付け教室の利用者目線” で言い換えれば
半ば強引に着物(小物含む)を買わされる
ことに他なりません。
冷静に考えてもらえれば分かると思いますが
着付け教室はボランティアではない
ので、事業を継続するために
【人件費】【家賃】【広告費】
などの経費が掛かりますが、”着物業界のビジネスモデル” として
無料やワンコイン(1回500円程度の受講料)だけで【運営費】を賄うのは不可能
なので
着物販売による利益(呉服屋と提携しての仲介手数料や小物販売を含む)によって運営
されています。
そのため、ほぼすべての【格安着付け教室】は
着物の【販売会】(【見学会】【親睦会】などと表現を変えているケースも多数)が受講カリキュラムに組み込まれて
いて、しかも
参加拒否できない
プログラムになっています(参加しなければ、次回以降の講習は受けられず、悪質なケースでは違約金が発生することも…)。
加えて
お金の工面が難しい(ローンを組むことが難しい)【学生】
子どもが多く、継続受講が難しい【主婦】
の方などは
着物の押し売りが期待できない(お金を払えなかったり、販売会に参加できないリスクがある)
ため、始めから着付け教室に参加させない企業すらあります(ただし、受講者数確保・利潤最大化のため無条件で受け入れている業者が近年目立ってきた)。
着物の【押し売り販売】を体験していないうちは
「自分は意志が強いから絶対に買わない…!」
「周りにたくさんの受講生がいるのに購入を強制されるわけがない…!」
と考えがちですが、実際にはほとんどの人が何十万円もする着物を買わされることになります。
【押し売り販売】の手口は非常にシンプルで
断りづらい状況を作る
ことを徹底させています。
具体的には
受講者の中に ”サクラ” を紛れ込ませ、購入を誘導する(⇒ 友人も買ってるし、自分も買っておこうかな…)
着物を試着させ、着替えさせない(⇒ 自分では試着した着物を脱ぐことができないし、買うまで返してもらえない…)
数人に囲まれて着物おススメされ続け、どうして買わないのかと言われ続ける(⇒ 恐怖心に負けて買ってしまう…)
などが本当によくある常套手段で、いくら意志が強かろうと大抵の人は押し売りに負けて買ってしまう結果になります(逆に購入者が少なければ派手な広告費を払えませんし、講師に給料を出すことも家賃を払うこともできません)。
ここまで説明してきたことから分かるように
【無料(格安)着付け教室】は【押し売り】されるリスクが非常に高く、絶対におススメはできない
のが現実です。
では
【有料】の着付け教室なら大丈夫か?
というと、残念ながらそんなことはありません。
企業であれば当然「1円でも多く利益を出す」ことを最重要項目としているため
受講者に疑問を持たれないように受講料はしっかり取る
うえで、かつ
講師には「着物販売ノルマ」を課し、ノルマ未達成なら【減給】や【自己負担の買取】をさせる
のが一般的です。
よって
【無料(格安)】の着付け教室は ”絶対NG”
なことに加えて
【有料】であってもリスクは高い
ことをよく覚えておいてください。
では、どういった着付け教室なら ”比較的” 安全なのか?
続いては、着付け教室を選ぶうえで、見るべき3つのチェックポイントについて解説していきます。
着付け教室を利用するなら…どこがおススメ?(チェックポイント)
ここからは『着付け教室を利用するなら…どこがおススメ?(チェックポイント)』についてまとめていきます。
原則として
【着付け教室】はリスクが高くおススメできない
のですが、もちろん【優良な着付け教室】は数多く存在し、私自身も2007年から10年以上着物に携わっていますが、少なくとも3社は良心的な講習を行っていることを把握しています(本記事では利害関係者となる可能性があるため名前は出しません)。
では、どうやって【優良な着付け教室】を見分けるか…?
チェックすべきポイントは、重要な順に以下の3つです。
1、着物の【販売会】(【見学会】【親睦会】)が ”自由参加” であると明記されている
2、着付け教室の【受講料】だけで【運営費】が ”充分” 賄える
3、受講期間(時間)が ”短い”
上記の3つは【必要最低限の条件】であって、上記3つを満たしていても「実際には【販売会】が強制だった」という可能性もあります。
残念ながら『着付け教室が優良かどうか』を正確に見極めることは不可能で、私が知っている ”まともな着付け教室” においても、「京都で着物レンタルによって生計を立てている」&「着付け教室は地元の人限定」&「時間に余裕があるから仕事の合間にやっている」という小規模な地元密着型だけです(基本の着付け方だけ教えて、あとは反復練習をしてもらう感じです。うまくいかない時はコツを教えて、基本は放置していましたが、それが個人的には【優良な着付け教室】のあり方だと思います)。
なお「1」と「2」は理解しやすいと思いますが、「3、受講期間(時間)が短い」は少し意外に感じるかもしれません。
これは着付け教室における「拘束時間を増やす」ことで
① ”サクラ” と受講者間の仲間意識を強める(⇒ 知人から勧められたら購入意欲が増す心理)
② 閉鎖空間で情報を遮断することで正常な判断力を奪う(⇒ 昼食時でもお弁当を用意し外部と隔離するなど、当該着付け教室の常識を埋め込む)
③ たくさんの時間を着付け教室に使ったのに、押し売り着物を買わないことでやめさせられたらもったいない(⇒ コンコルド効果)
といった心理が働くからです。
着物初心者の方はよく誤解しがちですが
冠婚葬祭などで着用する【フォーマルな着物(黒留袖・色留袖など)】を除けば、着物を着ること自体は全然難しいものではない
のが事実です。
具体的に着付けを覚える時間としては
浴衣 ⇒ ~30分
カジュアル ⇒ ~4時間
フォーマル ⇒ ~20時間
がひとつの目安です。
フォーマル着物に関しては、過去記事で何度も説明しているように ”正装” として着こなす必要があり、格やマナーも含めて覚えることが多岐にわたっているため、”着こなす” ためにはどうしても時間がかかってしまいますが、日常的に着るだけのカジュアル着物であれば、1時間教えてもらって、3時間自主練習すれば十分です。
私自身も知らない方(友達の知人)に着付けを教えたことが覚えているだけでもここ3年で4回ありますが、2時間ほどおしゃべりしながら説明している程度でもパッと見は問題ないほど着こなしてくれました。(袴の出し加減やおはしょりの締め方などはどうしても不安定になりますが、細かいことは気にせず気楽に着続けていくことでゆっくりと形になっていくものだと個人的には感じます。そもそも京都に住んでいても、カジュアルな着物に対していわゆる ”着物警察” といわれる着物マナーに関してマウントを取ってくる人はほとんどいません。あくまで主観ですが、着物好きであれば、マナーや季節柄などがチグハグであっても着物を着てくれていること自体がうれしいので不快に思ったりはしないでしょう。少なくとも私は真夏に桜の具象柄をまとっていても好印象を持ちますので…。ちなみに、フォーマル着物に関してはめちゃくちゃ指摘されますし、私自身も声に出してしまうので、そこは…あしからず。。。)
話が脱線しましたが、まとめると
着付け教室は利用しなくていい!
と結論付けておきます。
もちろん、優良な着付け教室を見つけられたらそれに越したことはありませんが、あえてリスクを犯さず、安全・安心に着付けをマスターする方法は存在します。
最後に「安全&安心して着付けを覚えるにはどうしたらいい?」について解説します。
安全&安心して着付けを覚えるにはどうしたらいい?
ここからは『安全&安心な着付け習得方法』です。
結論から言うと、次の2つの組み合わせが最適解!
① YouTube
② 着付け本
「① YouTube」に関しては
『着物 着付け』で検索
してみてください。
私がよく拝見しているおススメの配信者さんはいますが、宣伝のような形になってしまうと読者の方が不安に感じるかもしれませんので、ここでは名前を出しません。
少し面倒かもしれませんが、ご自身で検索されて、「自分が分かりやすいと思った動画」で習得されれば問題ないでしょう。
登録者数10万人以上の「着物専門チャンネル」の着付け動画をおそらくすべて拝見したと思いますが、2023年7月22日時点では不適切な着付けを紹介している動画は見受けられませんでした。
「② 着付け本」に関しては
「① YouTube」では網羅されていない細かい手順や、完成系をゆっくり(わかりやすく)理解できる
というメリットがあります。
こちらもおススメはありますが、同様に紹介することは控えます。
「着付け本」は種類が多く、「わかりやすい本」もあれば「わかりにくい本」もあるので、実際にいろいろな本を見比べて、こちらも自分に合った(自分がわかりやすいと思った)本を参考にされるのが良いでしょう。
おススメの「着付け本」の選び方は
図書館でそれっぽい本をまとめて借りる!!!
です。
都道府県立・市区町村立の図書館には多くの着物本が所蔵されているので、積極的に活用していきましょう。
ただ注意すべき点として
1つの図書館には所蔵している本が少ない
ので
インターネットで地域の図書館の本を一括予約 ⇒ 近くの図書館で一括受取
するようにしてください。
図書館のネット予約は非常に便利で、少なくとも私の住んでいる京都では京都市の19の図書館から在庫を検索&予約して、まとめて近くの図書館で受け取ることが可能なので、最近の本でも予約できない本はほとんどないほどです。
これは話題の小説やハウツー本などにも応用できるテクニックなので、図書館を利用してこなかった方は、この機会にぜひ覚えておくことをおススメします。
少し長くなってしまいましたが、以上『着物の着付け教室はなぜ無料?からくりと危険性についてわかりやすく!』についてまとめました。
最近は新型コロナの影響でなかなか記事を更新することができていませんでしたが、事業が落ち着いたらまた定期更新していきたいと思います。
京都市はインバウンドのお客様がいなくなったので、街としては落ち着いていますが、着物を着る方が圧倒的に減ってしまい少し寂しい気持ちです。
コロナが落ち着いたらぜひ京都へ観光にお越しください。
会社の宣伝はしない方針なので個人的なつながりは薄いと思いますが、着物に興味を持ってくださる方であれば、お互い知らないうちに関わり合うこともあるでしょう。
それでは、また次回!